あと5分夢が見たい。

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【ゲーム】もう、勇者しない。『moon』という隠れた名作ゲーム【紹介・レビュー】

摩訶不思議RPG『moon』を知っていますか

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moonとは

moonとは、1997年にラブデリックが開発し
アスキーから発売されたPS用ゲームである。
ジャンルは「リミックスRPGアドベンチャー」
キャッチコピーは「もう、勇者しない。

あらすじ

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 竜に食べられた、失われた月を取り返す。
そのために勇者は、数々の冒険をくぐり抜け、最大レベルに上がった。
そして月にある竜の城、そのラスボス、ドラゴンに挑んだ―――が。
「ゲームなんかやめて早く寝なさい」
RPGが大好きな少年(プレイヤー)は、母に叱られてゲームを消した。
しかし、消したはずの画面がなぜか起動し、プレイヤーは吸い込まれてしまう。プレイヤーが落下した場所には、先ほどまで遊んでいたゲームの世界が広がっていた。
 ゲーム上と印象がまったく異なる勇者や、強烈な個性を持った町人たち。彼らにプレイヤーの姿は見えなかったが、唯一、目の見えないおばあちゃんだけが主人公を見つけてくれた。おばあちゃんの孫の服を借り、やっと人に見える姿となったプレイヤーは、「ラブ」を集める旅に出る。
勇者とは違った方法でも、失われた月の光を取り戻すため、光の扉を開くために。
 ニコニコ大百科より引用

この記事を、未プレイの親友に捧ぐ。


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『moon』をざっくり紹介すると

  • 勇者が世界を崩壊させる
  • 戦闘が無い
  • BGMが無い
  • 走らない
  • キノコをキメる
  • 死体がいっぱい
  • なのに、癒される。
そんなゲームです。
私の一番好きなソフトのうちのひとつで今でも何周もプレイしてしまう味わい深いゲームなのですが、今年めでたく20周年を迎えましたので紹介したいと思います。
わりと人を選ぶゲームなのですが、えーなにそれ面白そう!と思った方にこの記事を参考にしていただければ嬉しいです。
 
あと『MOTHER』とか『UNDERTALE』が好きなのに『moon』はまだやったことないという人は、こんな記事読んでないで、早くプレイしなさい
CM動画


moon cm

覆される価値観 

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有り難がられてない勇者

まず愕然とするのが、勇者の扱い。
勇者ってば、めちゃくちゃ訝しがられてるんですよね……。
  • 犬っころを追いかけとるアホ
  • タンスを漁って下着泥棒
  • アニマルを虐殺してる危険人物
勇者、大ヒンシュク。
 えー!さっきは「ゆうしゃさまがんばって!」とか言ってくれてたじゃん!
プロローグ部分で実際にプレイできるゲーム内ゲームは、ドラクエとFFを盛大にパロった大作RPGというかんじのゲームでした。
そのときは当然のようにモンスターと戦ったし、人んちのタンス漁ったけど……

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言われてみればたしかに、
犬をいじめれば怪しい奴だし、タンス漁れば泥棒だわ!

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自分が勇者として当然のように振舞っていた行為の可笑しさが浮き彫りになり、自分の中にあったRPG的な固定概念とこの世界にズレがあることがわかります。
いや、まさか伝説の装備が人様の下着だなんて微塵も思わなかったけどさ!!

死んでも消えないモンスターアニマル

このゲームね、
勇者が殺したモンスターアニマルの死体がそこらかしこに転がってるんですよね……
 

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勇者が進んだであろう道に、点々と残るモンスターの死体と魂。
普通のRPGでは敵が死んだら死体は消えるので罪悪感はほぼ感じないのですが、
『moon』では敵が死んでも死体は残ります。ずっと残ります
しかも死んだ瞬間のまま放置されているので、死因がわかって正直グロい
この魂を捕まえて助けることが主人公の役目のひとつとなります。

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レベルはラブで上げるもの

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このゲーム、戦闘が無いんです。
戦闘が無いてことは、じゃあどうやってレベル上げするのかということなんですが、
レベルはラブで上がるんです
色々と人助けをしているとラブが溜まっていき、月の女神様が夢の中でラブレベルを上げてくれます。戦闘の無いこのゲームではステータスアップしたり攻撃力が上がったりなんていうことは無いのですが、レベルが上がると行動できる時間が増えるので、今まで時間切れで行けなかったようなエリアに進めるようになり、世界がどんどん広がっていきます。

走る機能なんて無いよ

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無いんですよ…

普通はありますよね走る機能Bボタンとか✖️ボタンとかで。

無いんですよ…
でも実は、これが大事。
これに慣れるまではゆっくりてくてく歩く主人公にやきもきイライラしたりするんですが、慣れてくるとだんだんそれが良くなってくるんです。

たくさんのラブに触れてゆく

個性的で癖のあるキャラクターたち

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モブというカテゴリのキャラクターは一切居ません
24時間「ここはラブデガルド城下町だよ!」なんて言ってる奴も居ません。
どのキャラもみんな強烈に個性的で、一癖も二癖もある人々ばかりなんですよ。
 
カウンターから抜けなくなってしまったバーのママだったり、
カミを完璧に信じちゃってる新興宗教めいたおっさんだったり、
家族を残して世界の狭間を彷徨っているおじいさんだったり、
スランプに陥ってるアメコミ作家だったり、
ムツゴローさんをパロったムツジローさんだったり。
朝起きて、夜は寝て、深夜に怪しい研究に没頭したりして、それぞれに悩みがあって、それぞれの毎日を送っています。
 
「クレーム来るんじゃないの?」と感じるほどイカレている奴とか
「居る居るこんな奴」程度のほんのりイカレている奴とかがわんさか居ますが、
それも『moon』の良いところ
 
このキャラクターたちにはそれぞれ音声が付いているのですが、喋る言語は日本語でも英語でもない創作言語なので聞き取ることはできません。その異世界っぽさがまたトリップ感を高めて良い感じ。

アニマルにもそれぞれの個性

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『moon』の世界ではモンスターではなくアニマルと呼ばれている彼ら。
どっかで見たことあるようなパロディっぽいアニマルも居るんですが、どれも粘土でできていて個性的でとてもかわいいんです。(みんな死んでるけど…)
魂は生前のまま元気に走り回ってるので捕まえるのも一苦労なんですが、捕まえるために追いかけたり、助けるためにどうしたら良いか試行錯誤しているうちにどんどん愛着が湧いてきます
アニマルたちはみんな粘土で作られているので、NHKのクレイアニメが好きだった人なんかもけっこうツボにハマるんじゃないでしょうか。

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サイケデリックな美しい世界

走らないくらいがちょうどいい

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走らないことに慣れてくると、風景の美しさに気付きます。
南の島風のエリアだったり、夕日の綺麗な崖だったり。
意味も無くずっとそこに居たくなるほどです。

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使い回しのパーツがほぼ無く、一枚絵のような美しさが続くのも魅力のひとつです。

BGMも無いよ

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普通のゲームだとよくある「町のテーマ」だったり「草原のテーマ」だったりするものがあまり無く、エリアを移動しても特に音楽が切り替わったりはしません。
そのかわりに環境音が凝っていて、ちょっと歩くだけでも自分の足音や風の音、鳥の鳴き声や謎の音が耳に入ってくるので全然耳が寂しくないんですよ。
主人公の足音は場所によって変化したり、ゲーム中に鳴る効果音もそれぞれ個性的で、特にこだわりを感じる部分です。

自分で選べる音楽

BGMが鳴らないかわりに、自分で音楽をかけることもできます。
この音楽がどれもすごくイイんですよ!
音楽は1曲ごとにMD(ムーンディスク)に入っていて1枚ずつ買うことができます。
それぞれにジャケットが設定されていてコレクション性が高いのも嬉しいところ。
付属の説明書にMDの紹介が載っていたんですが、それぞれ担当アーティストが違うっていうのもすごいですね。(ここを見つつ、つくづく紙の説明書って正義だなと思いました)

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MDに収録された音楽は現実世界でもコンピレーションアルバムとしてCD化されているんですが、プレミア価格になっちゃって現在13万円とのこと……
ちょっと手が出ないですね。
THE SKETCHES OF MOONDAYS~WE KEPT OUR PROMISE TO YOU~

THE SKETCHES OF MOONDAYS~WE KEPT OUR PROMISE TO YOU~

 

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MD屋のバーンは絵に描いたような音楽オタクで、早口で話が長くて上から目線。
いるいるこんな奴ー!」の代表格だと思います。
開発者の工藤氏のお言葉

 俺は、ゲームをやりながらも作りながらも、自分の好きな曲を流しているのが好きなんですよ。
 だからそれがmoonディスク(MD)の原型になっています。作り手が、「この場面はこういう音楽なんじゃー!」と用意するのはいいんだけど、「なんか違くね?」と思ったら、もうそれが気になってしかたがないから。

 だからその話を『moon』の最初に安達さんとして、いわゆるイベントなどの場面でのサウンドトラックはあるけど、基本的にフィールドのBGMでは作曲者の自己満足の音を聴かせないようにしようって。

伝説のRPG『moon』20年目の同窓会──ラブデリックメンバーが語る、ディレクター3人という奇跡のような開発スタイル…そして「あのころ」の始まりと終わり【座談会】

いけないキノコをキメてらっしゃる

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明らかにいけないキノコをキメてらっしゃるような人もいます。
ちょっとこわくなるくらいサイケデリックな演出もありますので、
是非お楽しみいただきたい

自分で選べるイベント

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一応メインのストーリーというものもあるのですが、それ以外のイベントは関わるも関わらないも完全に自由。どのイベントから進めてもいいし、進めなくてもいいんです。
日がな一日入り江に座ってのんびり釣りをしていても良いんですよ~。
私のお気に入りは砂漠の釣り場でMD『宇宙のお祭り日』を流しながらひたすら釣りをすることです。

最終的に価値観が変わり、癒されている

夢と悪夢の境界が曖昧に

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アニマルの死体に触れ、奇妙な世界の中を歩き、キノコをキメ、空を見る。
そうしているうちに、ここが夢なのか悪夢なのか境界が曖昧になってくるんです。
それが異様に心地良く、もはやこれは画面でキメる電子ドラッグと感じるほど。
 
殺さなくていい、
走らなくていい、
ラブで人を繋ぐ世界は存外良いものです
 
ずっとこのラブアンドピースな世界に居たい…
そう思わせるほど世界観に中毒性のあるゲームなんです。
 

勧めづらさには理由がある

長々と勧めておいてアレなんですけど、
このゲームって本当はなかなか人に勧めづらいゲームなんですよね……。

物理的に勧めづらい

  • ゲームアーカイブスになってない
  • ソフトのプレミア値段は落ち着いた…けど高額
  • プレステ本体1か2か3が無いとプレイできない
という三重苦です。
ダウンロード版になっていればまだ勧めやすくはあるんですけど、今は中古でPSソフトを買うしかないんですよね~……
ヤフオクやamazonでも売ってはいるけど、プレミア価格のせいで中古でも7千円。新品となると7万円と、なかなか手が出ないお値段になっています。
買えたとしても、初代PlayStationのソフトが動く本体を持っていないと起動できないんですよね…。

心理的に勧めづらい

このゲーム、名作は名作なんですが、わりと人を選ぶ内容なんですよね。
  • 風刺の効いたブラックなネタ
  • 勇者を悪にするパロディ
  • そこらかしこに転がってる死骸
  • 基本的にイカレてるキャラたち
  • ヤク中のようなトリップ演出
このあたりを「気持ち悪い…」と思わず「面白そう!」と感じられるような人ならば、『moon』の世界観にドップリとハマることができるでしょう。
またドラクエやFFのパロディが多いので、元ネタをプレイしたことのある人だと更に楽しめるんじゃないかと思います。

せめてプレイ動画を見てほしい

ニコニコ動画にもYOUTUBEにもプレイ動画はたくさんありますので、興味のある方はぜひプレイ動画を見てみてください。
こちらは実況してないプレイ動画なので、moonそのものの味を楽しめますよ。

ほんとはプレイしてほしい

でも本当は、本っっっっっ当はプレイしてほしいんです!!
一時期ウン万とかになっていたプレミア中古価格も今は落ち着いて中古なら定価くらいで買えるようになったので、条件が揃っていて据え置きゲームを楽しめる余裕のある人は、何卒、何卒!実際にプレイしてみてください!!
特に繰り返しますけど、『MOTHER』とか『UNDERTALE』とかが好きな人はプレイしないと損ですからね!!!!

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